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中国天津港爆発事故の最新情報

 中国天津で発生した危険化学品による大規模爆発事件について、19日午前9時時点で、計114人の死亡が確認され、674人が入院中のほか、65人が未だ行方不明となっていることが明らかになりました。一方、死者のうち、13人の身元は確認できていません。

 中国公安部消防局副局長の牛躍光によりますと、爆発現場では、硝酸アンモニウム800トン、硝酸カリウム500トン、シアン化ナトリウム700トン 等を含む40種以上の危険化学品が3,000トン以上保管されていました。また、記者の取材に対し、瑞海物流の従業員は、到着エリアに置かれていた分類2に該当する危険化学品(可燃性液体)のコンテナーが引火されたことを目撃したと話しました。これに対し、瑞海物流の責任者は、コンテナーに過量の危険化学品が積まれ、 内圧上昇によってバルブが開かられ、空気に接触した後自然発火した後、火災による高温、震動によって近くにある硝酸アンモニウムのコンテナーが爆発した可能性を示唆しました。硝酸アンモニウムは鉱山用爆薬として使用されており、簡易爆発装置にも用いられています。

 事故現場からの情報によりますと、18日午前、爆発現場から半径500メートル範囲内で、空気中のシアン化ナトリウム及び神経毒性ガス濃度は依然として測定設備の最大測定値を大幅に上回っています。一方、警戒線外のモニタリングスポットについては、空気、水、土壌に関わる測定結果は関連国家・地域 基準内にあるということです。しかし、18日に当地に降雨が発生し、事故現場の複雑性やリスクが高まる懸念も出ています。

 各所で事故調査報告書の発表が待たれる中、更に驚くべき情報が出てきました。中国安全生産監督管理総局局長楊棟梁は厳重な規律違反の嫌疑で調査を受けることとなっています。楊棟梁は2012年5月に総局局長に昇進しました。局長として発足する前、11年間に渡って天津市副市長を務めていました。関連情報によりますと、濱海開発区から天津市における化学工業の繁栄まで全てに関わっています。また、中国石化、中国石油等の大手国営企業とも密接な関係 が存在しているという情報も出ています。

 上記問題点のほか、本爆発事故で浮上した問題について下記いくつかにまとめます。

  • 危険化学品倉庫から居住区までの距離は安全基準に適合していない;また、不動産業者も住民も危険化学品倉庫の存在は知らなかった;

  • 瑞海物流の倉庫にある危険化学品の実際取扱量は、建設工事項目環境評価文書で記載されている予測値や地方環境保護部門に届けた数量より大幅に上回っている。

  • 安全生産主管部門は監督管理の責任を交通及び港湾経営に関する主管部門に転嫁しようと考えている。

  • 危険化学品管理について、地方政府部門と現地の企業は責任と義務が混乱し、監督者でありながら被監督者の役割を果たしている。

  • 新京新聞は、2014年5月4日、瑞海物流が「港湾経営許可証」、「港湾危険貨物作業付加証明書」を取得していないものの、天津市交通運輸及び港湾管理局 は瑞海物流について半年の危険化学品試運営を許可したという嫌疑があると指摘しています。更に、試運営を許可した書類には「本書類は不公表」と記載されています。また、試運営して半年後、瑞海物流はいかなる許可証も取得しないままで8ヶ月にわたり運営が続けており、2015年6月になってはじめて上記2つの 許可証を取得しました。

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