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中国『新化学物質申告登録ガイドライン』(草案)が発表

 2016年3月8日、『新化学物質申告登録ガイドライン』(草案)が世界貿易機関(WTO)の公式サイトに発表され、各参加国による確認を仰いでいます。REACH24Hの専門家チームが草案の内容を詳しく分析した上で、去年6月に公布された意見募集案と比較した結果、いくつかの変更が明らかになりました。

1. 管理範囲

  • 今まで検討を重ねてきたAPIとTCについて、”その他の法律が延長管理した化学物質”として、新物質申告を免除することが認めされました。但し、その他の工業用途は免除対象外になります;

  • 従来は、製品の中に含まれている新化学物質が環境又は人体へのばく露をもたらすものについて、申告を免除することはできませんが、今回の草案では、ばく露危害をもたらす場合のみ、申告する必要があるとしました;

  • 免除種類に”添加物と表面処理剤が特定の機能を実現する過程で発生した化学反応がもたらした産生物”を追加しました。、但し、危害が発生した場合は免除対象外です;

  • 科学研究の届出は活動量が10kgを超えた場合、申告が必要になります。

REACH24H専門家のコメント:

リスク管理ラベルを維持しながら、事業者の負担が軽減されました。

 

2. 申告要求

  • 低懸念ポリマーを申告する際、排除する必要がある高反応機能性グループが追加されました;

  • 分解と吸水性ポリマーは低懸念ポリマーとして、簡易申告を受けることができなくなりました。但し、2%ルールに従って簡易申告を受けることはできます。

  • 分解性ポリマーの分解或いは解離の定義について:酸化・水分解・熱・光・溶剤或いは微生物の働きにより、ポリマーがより簡単で、より分子量が少ない物質に変わる化学変化のことを指します。吸水性ポリマーの定義について:水を吸収することにより、自らの重量を増やすことができるポリマーのことを指します。水に溶け込むことや、水の中に分散することができるポリマーは含まれません。

REACH24H専門家のコメント:

現状として、中国はポリマーへの規制は比較的に緩いものになっています。毎年の簡易申告数は膨大であり、その中にリスクが潜んでいます。今回の草案では低懸念ポリマー申告のハードルを上げましたが、新物質単体の含有量が2%以下のポリマーに制限を掛けていませんでした。

 

3. 申告資料

  • 従来の「”試験することができない特別な場合”のみ非試験データの提出が認められる」という内容が変更され、理由が十分である場合、非試験データの提出が認められることになります。国際通用の見積り方法(QSAR・Read-Acrossなど)及び権威ある文献・権威あるデータベースの引用或いは専門家の声明なとの方法を採用することができるようになりました。

  • 「試験報告資料の有効期限は試験方法が変更した5年後まで」というルールに対して、草案では、「原則上」という前提を加えました。事業者が以前の試験報告資料を使用したい場合は、報告資料品質自己評価を提出し、評価委員会の評価を受けることができます;

  • 低懸念ポリマーを簡易申告する際、”分解或いは不安定ポリマー及び吸水性ポリマーに属さない”証明材料或いは声明が必要になります。

REACH24H専門家のコメント:

非試験データに対する受け入れレベルが上げました。一部試験方法の更新は、更新前の試験結果の科学的信憑性と有効性に影響しないため、一律に無効にするのは本来は問題です。但し、事業者に大しては出来るだけ新しい方法で試験をすることをお薦めします。

 

4. データへの要求

  • 変異原性で、体外遺伝子変異結果は陽性の場合、いくつかの上位試験を選ぶことができるようになりました。例えば:体内遺伝子変異或いはDNA損傷試験等です。

  • 毒物動態学:2級申告する際は吸収と排泄の関係情報(実際例として、試験データ・関係文献或いは同系物の研究データを上げましたが、専門家の声明は言及していません)の提出が要求されるようになりました。また、3級と4級申告する際は従来の要求だと危害分類が危険類に分類された化学物質が完全の毒物動態学報告の提出が要求されましたが、草案には、いくつかの危害分類状況を削除されましたし。

  • 魚類慢性毒性試験:4級では魚類稚魚成長毒性試験しか使用できません。(OECD215)

  • 慢性毒性試験:90d(NOAEL≥300mg/kg)の結果または毒物動態の結果(長期的な毒性を十分説明する場合)により免除することができます。

  • 2世代繁殖/発育毒性:拡大した1世代繁殖毒性データで代替することができます。

REACH24H専門家のコメント:

今回の草案には、変異原性試験において、試験の組合せモードを明確するだけではなく、危害分類に対する分析基準も明確にされました。

毒動態学の要求も現行のガイドラインと比べ明確になりましたが、物理化学性質や、その他の毒性学データのみに基づいて作成した評価報告は承認されないため、文献や、同系物の研究データを入手する可能性が限られています。

慢性毒性の免除条件が増えました。

 

 正式版の発表は今年下期になる見込みです。今回発表されたのは草案であり、正式版が発表される前までは現行のガイドラインに従うことをお薦めします。その他、不明点がある方は気軽に問合せてください。

 

関係リンク:

中国『新化学物質申告登録ガイドライン』(草案) 中国語 PDFファイル

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