2013年12月3日、日本厚生労働省労働基準局は「変異原性が認められた化学物質の取扱いについて」(基発1128第3号)を発表し、強度の変異原性化が認められた化学物質を取り扱う企業に関連規定に基づき安全データシート(SDS)を交付するよう要請しました。
今回の公告では、49個の新たな強度の変異原性化が認められた化学物質(以下「強度強度変異原性化学物質」という)に関係しています。そのうち、43物質は「安全衛生労働法」第57条の3第3項に基づく新規化学物質に該当し、6物質は既存化学物質に該当するものです。また、今回の公告によって、従来、強度の変異原性が認められた既存化学物質とされた「メチレンビス(4-フェニルイソシアネート)」(CAS番号101-68-8)は、2012年度化学物質のリスク評価検討会において、強度の変異原性の有無について判断できない旨の結論が出たため、除外されることになりました。
SDS交付のほかに、強度変異原性化学物質の届出企業及び関係事業者団体は、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針 」(以下「指針」という)に沿って措置を講ずることが求められます。措置は下記の通りになります:
1)暴露を低減するための措置
作業環境の改善、設備の密閉化、排気装置の設置、保護具の使用、ばく露時間の短縮など。
2)作業環境測定
「指針」によって、企業は定期的に作業環境を測定し、作業環境測定の結果及び評価の記録を30年間保存するよう努めることが望まれます。
3)労働衛生教育
変異原化学物質等を製造し、又は除去作業に従事している労働者及び当該作業に従事する予定の労働者に対して、変異原化学物質の性状及び有害性、変異原化学物質による健康障害、その予防方法及び応急措置、保護具の種類、使用方法などの項目を教育すること。
4)変異原化学物質等の製造等に従事する労働者の把握について
変異原化学物質等を製造し、又は取り扱う作業に常時従事する労働者について、1年を超えない期間ごとに情報を収集すること。収集する情報は、労働者の氏名、従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間、変異原化学物質により著しく汚染される事態が生じたときの概要及び講じた応急措置の概要などの項目が含まれます。なお、「指針」によって、上記の事項の記録は、当該記録を行った日から 30 年間保存するよう努めること。
該当「指針」は強制な実施は求められていませんが、関連企業及び事業者団体は強度変異原性化学物質による重篤な健康障害を配慮した上、指針に基づく関連措置を出来るだけに講ずることが望ましいとされています。
現在、強度の変異原性化が認められた化学物質は合計932物質あり、そのうち、782物質は新規化学物質に該当し、150物質は既存化学物質に該当するものです。