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「カーブでの追い越し」、中国の危険化学品管理はIT化に希望を託す

 近年、中国の化学工業は急速な発展を遂げ、2020年における石油化学工業の生産高は世界の40%に達する予測です。一方、2015の天津港爆発事故を代表する危険化学品がもたらす重大事故は後を絶たず、当局を悩ませてきました。
 2020年11月30日に開かれたオンライン講演で、中国応急管理部に属する化学品登記センター(NRCC)の陳金合氏は中国危険化学品管理の最新状況を参加者に紹介しました。陳氏の話によれば、2015年から2020年まで、全国で合計11件の「特別重大事故」が発生し、死亡者数は364人に上っています。全体として、事故の発生は抑えられている傾向ですが、メディアの発達により、重大事故の心理的あインパクトは以前より大きく、結果として、全国民の安全感と政府への信頼を損なうことになってしまいました。
 「人の命を代償にした発展はあってはならない」という政治スローガンを掲げる当局にとって、それは絶対に受けられないことです。2016年11月29日に公布された「危険化学品安全総合治理方案」から、2020年2月26日に公布された「危険化学品の安全生産工作を全面的に強化することに関する意見」まで、国の最高行政機関としての国務院弁公庁と中国共産党中央弁公庁が危険化学品管理の改善に直接指示を出してきました。しばらくの間、中国は危険化学品管理に手を緩めることはないでしょう。
 とは言え、法規制の新設や改善はある程度加速することができますが、危険化学品の管理知識や経験がある人員短時間で大量に確保することはほぼ不可能だということも陳氏が講演で認めました。企業側も当局側も専門人材が不足しています。管理体制における先進国との差をいち早く縮める、いわゆる「カーブでの追い越し」のために、当局はその他の方法に希望を託しています。それはの管理のIT化です。
 その代表の一つは、各地で続々と建設されてきた「危険化学品重大危険源監視及び早期警戒システム」です。このシステムは企業に設置された各種の監視設備をネットを通じて当局と接続しており、リアルタイムに情報を提供しています。また、一部のデータは自動的に可視化され、システムの使用者がより迅速に対応するよう設計されています。最終的に、このシステムは全国範囲に展開する予定です。
 IT化が進めている中国では、政府機関はIT技術の利用に比較的に慣れているのも事実です。今後、当局は危険化学品の管理に更なる多種多様なITシステムを導入する可能性があります。
 

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