7回にわたり検討した結果として、産業界代表、民間団体、専門家などで構成されたK-REACHの下位法令を研究するためのタスクフォース(TF)は、K-REACHの関連事項を検討した上で、下位法令の制定に対して意見を提出しました。検討した結果について、韓国環境保護部は2013年12月27日、公聴会を開催し、詳しく説明を行いましたが、具体的な実施状況などは下位法令が発表されなければ分からない状態になっています。公聴会の結果は下表のようにまとめます:
表1. K-REACHの下位法令の研究結果
テーマ | K-REACHタスクフォースの検討結果 |
研究開発用化学物質 | 研究開発用化学物質を登録免除の対象範囲に入れます。具体的には、工法開発、試剤、量産前の見本生産、試験用物質などの化学物質が免除対象となります; 限定された場所以外への移動が許可され、輸送・安全管理計画書によって事後管理を強化します。 |
少量新規化学物質の登録 | 年間製造または輸入量が1トン以下の化学物質について、手続きを簡素化し、2020年までに0.1トン/年の閾値に達する見込みです。 提出資料:営業者基本情報、用途、識別情報、使用用途に関するばく露情報 処理時間:登録申請の提出後3日間以内に通報します(更なる検討が必要な場合は7日間) 消費者に直接ばく露するリスクを考慮した上で、累計で少量の基準を超えた場合などについて、関連資料を別途で追加する必要があります。 |
サプライチェーン情報の伝達 | 化学名、有害性、用途制限、注意事項など化学物質の安全情報を提供しなければなりません。成分、含有量など営業秘密に関する情報は除外されます。製造・輸入・使用・販売量はオプションです。 |
既存化学物質から優先評価化学物質(PECs)の指定 | 用途、暴露レベルなどの危険有害性を基に指定します; 3年間ごとに優先評価化学物質を指定して公示し、毎回3年間の移行期間が与えられます(初回指定された物質は500種類以下で、2014年10月までに事前予告が行われる見通しです)。 |
登録対象となる化学物質の明確化 | 不純物/副製品(意図的または非意図的に生成した物質)について、登録する必要はありませんが、該当する化学物質の登録申請表に記入しなければなりません(EU規制に合わせます); 非分離中間体は登録義務から除外とされますが、単離できる中間体は登録する必要があります。 |
登録用資料の提出 | 登録済の化学物質の実験データを使用する場合、資料所持者の許可を予め取得しておかなければなりません; 国内試験機関が提供する実験結果のかわりに、実験計画書(実験内容、実験日程などが含まれる)の提出が認められます; 信頼性認証を前提に、非実験性資料(QSAR, read-acrossなど)の提出が許可されます。 |
有害化学物質の指定 | 有毒化学物質の指定標準は「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(GHS)に合わせます; 認定対象候補物質の指定基準については具体化する必要があります(発がん性、生殖毒性など); 有害化学物質を指定する前に、社会・経済性分析及び事前予告が行なわれます |
有害化学物質を含有する製品 | 登録対象となる製品中有害化学物質の含有量標準(重量比0.1%)をEU規制に合わせるよう設定します。 |
中小企業の保護 | 実験費用の適正化を証明するよう、合理で明確な費用リストを提供します; 手続き料による費用負担を軽減します; 中小企業者の範囲の詳細については「中小企業基本法」第2条をご参照ください; 国外事例:EU REACHの登録費用は企業規模によってランク分けされており、約1,600から31,000ユーロかかります。 |
臨時措置 | TCCA規制に基づく有害性審査が完了した(結果通知書を受領したもの)新規化学物質は、K-REACHに基づく登録が完了していると見なされることになります。しかし、K-REACH正式施行日(2015年1月1日)までに韓国政府の官報に公示されなかった場合は、新規化学物質として取り扱われ、TCCAに基づく元登録者に限り登録から免除されます。他の申告者はK-REACHに基づく登録が義務付けられることになります(Chemlinkedニュースをご参照ください); TCCA規制によって、有害性審査結果通知書の所持者から許可を得て該当審査結果を共有できる製造者または輸入者は、K-REACHに基づく登録が必要となりますが、1~2年間の移行期間が与えられます; TCCAに基づいて有害性審査が免除された高分子化合物について、K-REACHに基づく登録対象とされた場合、3~5年間の移行期間があります。 |
韓国「化学物質登録および評価等に関する法律」(K-REACH)の中国語・英語訳は入手可能です。詳細についてはこちらをご参照ください。
韓国政府は、業界が抱いている登録データの要求、登録によるコスト及びかかる時間に対する懸念を軽減するため、長期間にわたって取り組んでおり、特に中小企業に対して、優遇措置が講じられています。韓国当局は2014年、業界から注目されているK-REACH実施をめぐる問題について、詳しく回答を行うことにしています。K-REACHをめぐる日程は以下のようになります:
2013年12月: 法律相談などで下位法令案を完成;
2014年1月: 法律の制定過程を立ち上げ、部内検討を行い、暫定案を作成;
2014年1月~: K-REACH基本枠組み作成を促進;
登録資料記入ガイドライン、危険有害性評価ガイダンスなど各附属書類の作成を完了;
K-REACHに基づくすべての手続き(報告、登録、審査など)に合わせたITシステムの開発;
GLP試験機関の構築など。
2014年2月: 産業支援団体の設立;
一対一の相談・諮問が実現できるようK-REACH支援センター(ヘルプデスク)を運営;
産業/地域別で教育指導を行い、オン・オフラインで個人化支援を提供。
2014年2月: 官民連携機構(暫定名称:化学物質安全掲示板)の常設化;
監督政策を実施し、化学物質の自主管理及び支援事項の探求などを促進;
2014年10月: 既存化学物質登録対象及び移行期間に対して事前予告を実施。