2024年1月30日、欧州化学品庁(ECHA)は化学物質に関する増え続ける情報をより簡潔かつ明確に共有することを目的に、新しい化学物質関連データベース「ECHA CHEMプラットフォーム」(以下、「ECHA CHEM」という)を発表しました。これにより、REACH登録情報へのアクセスも変更されました。一つ注意すべき点は、既存の全てのREACH登録情報はすでにECHA CHEMに導入されています。また、今後の登録情報の更新も同システムのみに行われることになります。
背景
ECHAの既存のプラットフォームは2016年に運用が開始されて以来、急速に成長し、現時点で360,000種類を超える化学物質の情報を収載しており、世界の最も充実した化学物質関連データベースの一つとなっています。そして、多種多様で膨大なデータに対応するため、ECHAは2022年に既存システムの課題を解決する新技術を活用し、データ公開用の新しいシステムを構築すると発表しました。今回、ECHA CHEMの導入は、ECHAの化学物質関連データ共有サービスにおける新たな重要な一歩です。
新プラットフォームの主な変更点
1.検索機能の向上
従来通り、新プラットフォームはEC番号/CAS番号/名称/IUPACで物質を検索する場合、名称の一部を入力すれば、それを含むすべての結果が表示されます。それに加え、すべての検索結果をExcel形式でエクスポートする機能も追加されました。
2.データの表示形式の明確化
物質情報、ドシエ、登録の種類や登録者などを含むすべての情報は、一覧で見やすく表示されています。また、ドシエごとに表示されるため、すべての登録者のドシエ、特に先導登録者(LR)のドシエが見やすくなっています。
3.データフォーマットに関して登録ドシエとの整合性
ドシエのインターフェースは、IUCLIDと同じフォーマットで表示され、データのリアルタイムな更新が可能です。
注意:新プラットフォームは、現在入手可能な情報以上のものを開示せず、機密レベルが従来と同じく、表示フォーマットのみが変更されました。今後数年間で、ECHAはその他のデータを既存のプラットフォームからECHA CHEMへ徐々に移行する予定です。下図は、2024年の移行計画を表したものです。
この移行期間中に、新旧両方のプラットフォームを使用できるため、ユーザーは依然としてSEARCH FOR CHEMICALSを通じて旧プラットフォームに切り替えて関連データを検索することが可能です。ただし、新プラットフォームに移行されたデータは、旧プラットフォームで更新されなくなります。すべてのデータ移行が完了すれば、旧プラットフォームは閉鎖されます。