登録の際に求められる情報を明確化し、欧州化学機関(ECHA)による評価の透明性・予測精度を高めるため、2022年3月24日、欧州委員会が「EU REACH規則附属書VI~X」を改正する欧州委員会規則2022/477を公表しました。今回の改正は2022年10月14日から施行される予定です。
そして、主な改正内容は以下となります。
1.下記の試験について、要求されるデータ要件および免除規則を明確化
in vitroおよびin vivoの変異原性試験:変異原性に関する懸念に基づき、さらなる研究が必要になる場合を指定すること;
生殖毒性試験:望ましい試験動物種と投与経路を特定し、懸念に基づく追加研究が必要と判断される条件を明示すること;
水生毒性試験:短期試験の代わりに、長期試験を実施すべき場合を明確にすること;
陸上生物および底生生物に関する毒性試験:短期試験の代わりに長期試験を実施すべき場合を指定する他、長期テストを通じて分解生成物および変換生成物を調査する必要があることを説明すること;
分解性・生物蓄積性の試験:分解生成物および変換生成物についての調査を含む追加テストが必要になる場合を指定すること。
2.唯一の代理人(OR)が代表するEU域外製造業者に関する情報を提供
附属書VI(改正)に基づき、唯一の代理人(OR)はEU域外製造業者の名称、住所、連絡先、必要に応じて、企業サイトや企業識別番号などを提供する必要があります。
ご注意:相応のREACH-IT システムの機能が4月末に導入されるため、登録済みの企業は2022年10月14日前に情報の更新を完了しなければなりません。
3.物質識別情報に対する要件を改善
附属書VII-X下の情報要件を満たすために提出された情報と関連する物質組成、ナノ形態あるいはナノ形態類似のセットを説明するための要件を改善;
結晶構造およびUVCBs物質(未知または可変組成、複雑な反応生成物、生物学的物質)の組成に関する報告要件を追加;
成分、不純物と添加物の報告要件および分析情報の要件を明確化。
ご注意:EU REACHの下では「一物質一登録」制を採用し、同一物質の情報について、複数の製造者や輸入者により共同で登録することが可能です。ただし、企業は登録対象物質と自社製品の同一性を確保するため、登録の前に製品の成分および構成情報を明確化する必要があります。