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水性塗料が「国家危険廃棄物インベントリー」から削除

 今年2月に、Chemlinked Japanは水性塗料が中国「国家危険廃棄物インベントリー」から外される可能性を指摘する記事を発表しました。近日、中国環境保護部は国家発展と改革委員会及び公安部と共に、「国家危険廃棄物名録(インベントリー)」(2016年改訂版)を正式に発表しました。その中に、水性塗料が予測通りに削除されたことが確認しました。

具体的に、2016年改訂版はHW12類の内に4種の危険廃棄物を以下のように調整しました。

廃棄物類別

発生業界廃棄物コード危険廃棄物危険特性

HW12 染料・塗料廃棄物

塗料・インク・顔料及び類似品の製造

264-011-12

その他のインク・染料・顔料・塗料(水性塗料を除く)を生産する過程で発生した廃棄母液・滓・中間廃棄物

T

264-012-12

その他のインク・染料・顔料・塗料(水性塗料を除く)を生産する過程で発生した廃水処理汚泥・廃棄吸収剤

T

非特定業界

900-251-12

塗料(水性塗料を除く)・有機溶媒を使用し、隔離層を塗布する過程で発生した廃棄物

T, I

900-252-12

塗料(水性塗料を除く)・有機溶媒を使用し、塗料塗布・吹き付けする過程で発生した廃棄物

T, I

※危険特性:腐食性(Corrosivity, C),毒性(Toxicity,T),着火性(Ignitability, I),反応性(Reactivity, R),感染性(Infectivity,In)

 一方、水性塗料を生産・使用する過程で出た廃棄物をまったく管理しないことに対して反対意見もたくさん出ています。確かに、他の塗料と比べ、水性塗料の生産には有機溶媒の使用を大幅に減らしたため、発生したVOCは少なくて、大気汚染を軽減することができます。しかし、水性塗料の成分には樹脂・顔料・充填剤・添加剤など有機溶媒以外の化学物質を数多く使っています。これらの化学物質は廃棄物の中に残留することは否定できない事実で、水性塗料の廃棄物は本当に安全かどうかはまだはっきり判断することができないという考え方もあります。例えば、固定廃棄物の場合、通常は焼却後埋立にします。多くの危険廃棄物は200度-300度の温度区で、大量にダイオキシンが発生することが知られているため、固定危険廃棄物の焼却炉は該当温度区の焼却時間を減らすように特殊な設計が施されています。水性塗料の廃棄物を危険廃棄物から外された後、メーカー側は自然に一般の焼却炉を使う傾向が出てきます。結局、二次汚染が発生する可能性が増えます。

 また、水汚染にも水性塗料を取り巻く難題の一つです。凝集・CODオーバーなどの問題はまだ完全に解決していません。一旦、当局が水性塗料への規制を緩んだら、業界は引続き技術革新を実施する意欲が減り、最終的は環境への負担を増えるでしょう。

 確かに、水性塗料はVOC排出削減において利点があり、運用を広げるべきですが、廃棄物のリスクも真剣に考慮し、バランスよく発展させるこそ正しい形ではないでしょうか。

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