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韓国環境部 K-REACHへの懸念を緩和

 一部の韓国メディア、例えば、ソウル経済は韓国化評法(K-REACH)に対応するための潜在的なコストについて大げさともいえる報道をしていたことが明らかになりました。報道された120億ドルという驚くほど高い数字は実際、国内にある化学物質を取り扱う16,00社すべての企業を基に算出したものでした。韓国環境部(MoE)は業界の登録によるコストや時間に対する懸念を軽減させるため、先日K-REACHにおけるコストと時間に関する問題に対して公告を発表しました。

 K-REACHの正式名称は「化学物質登録及び評価等に関する法律」(通称:化評法)であり、2015年1月1日より正式施行されます。最も留意すべき部分は、K-REACHが新規物質及び韓国国内で流通する発がん性、生殖毒性高い危害性を有する物質(化学物質)などにしか適用されません。対象となるのは約2000物質であり、関連する韓国企業数は報道された全ての企業(16、000社)ではなく、3000社余りとなります。

 K-REACHに基づく登録物質は4等級に分けられます。トン数が大きければ大きいほど、データに対する要求が厳しくなります:1~10トンの物質を登録するのに、11個のテスト項目が必要となります。10~100トンの物質は20個項目、100~1000トンの物質は33項目、1000トン以上の化学物質を登録するのに、46個の試験項目を行わなければなりません。実験による負担を軽減させるために、K-REACHは代替データ及び非実験性データ、例えばQSAR、カテゴリーアプローチ、Read- acrossなども認められることとなります。新規化学物質について、K-REACHは数量による免除が設定されていませんが、K-REACHの関連法令によって、簡易登録物質として指定されたものは、登録用資料が極力簡素化され、定額以上の実験費用はほとんど発生しないと予測できます。環境部は、8年間(注:優先化学物質の登録は移行時間を考慮した上で3回に分けられ、最長8年間となる)のトータル費用が全国で6.45億ドルにのぼると見積もっています。

 一部の項目が試験機関が不足している問題に対し、K-REACHは試験データの代わりに、先に試験内容及び日程などが記述された試験計画を提出する事が認められます。この場合、登録者は登録ナンバーを先行に取得することができ、試験機関の不足によって登録時間がかかり過ぎてしまい、貿易に悪影響を及ぼすことを防ぐことができます。

 現時点で、環境部指定GLP機構は16ヶ所、食医薬品安全庁は19ヶ所、農村振興庁は16ヶ所の指定試験機関があり、K-REACHの試験要求を満たすことができると予想されます。しかし、環境有害性の分野は人体健康有害性分野よりもリソースが不足しているので、環境部と産業部は試験機関を設立し、専門技術者を育成するために提携して取り組んでいます。化学物質試験分野等の専門技術者の育成で環境部と産業部はそれぞれ140万ドル、試験技術の開発や試験施設の建設などで環境部は100万ドル、産業部は280万ドルの資金を投入する予定です。これに伴い、韓国の試験能力が向上し、現状における業界の実験室の能力不足や、試験項目の過多ことによる遅れへの懸念を緩和することもできます。

 科学研究開発に用いられる化学物質について、実施法令では登録免除対象とされています。現行の《有害化学物質管理法》もこれを参考にして、科学研究開発用の化学物質における有害性審査を免除しています。優先化学物質については、最大8年間の登録移行期間が設けられ、移行期間で登録しなくても正常に製造、または輸入することができます。そのため、登録企業は移行期間内に対象物質の製造・輸入を行いながら登録資料を用意することができます。

 環境部により発表された登録によるコスト及び時間に関する公告は業界が抱いている懸念を軽減しましたが、実際の実施に向けた詳細説明などの関連文書はまだ発表されいません。近日中に発表が予定されている大統領令と部長令は従来懸念されていた詳細に関する不明点を明確化させる予定です。K-REACHは2015年1月1日より実施される見通しになっています。実施日が近づくと共に、環境部が巨大なプレッシャーを抱えつつ関連書類の編纂を行っていることが予想されます。これらの文書はK-REACHをより具体化させ、特にコストと試験時間の問題を明らかにすることとなります。

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