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中国 環境保護法 「日単位罰金加算制度」を強化

 2015年1月1日から実施した“史上最も厳しい”とも言われる「中国環境保護法」の第五十九条に、「日単位罰金加算制度」について書かれています。違法の汚染排出で当局から罰金が科せられ、(汚染排出の停止などの)改正命令を受けた組織が改正命令に従わない場合に適用します。

 この制度の実施をサポートするため、環境保護部(MEP)が2014年12月19日に、「環境保護部令第28号-環境保護主管部門日単位罰金加算実施弁法」を公布し、「中国環境保護法」と同時に発効させました。

 「日単位罰金加算制度」を簡単に言うと、処罰書を渡された翌日以降も違法した状態で操業を続けた場合、一日当たり当初の罰金分を加算する制度です。統計によると、中国全土には2015年と2016年はそれぞれ715件と1,017件の日単位罰金加算処罰が実施され、合計金額は56,954万元と81,435万元となりました。一見して、実施してからの2年の間に、件数と金額共に上昇し、順調に運用しているように見えますが、当局は「当初予測した効果を十分発揮していない」という見方を示しています。

 2017年5月18日、「日単位罰金加算制度」の実行力を高め、機能をより発揮するため、MEPが環境保護部令第28号の修正案を発表し、一ヶ月間の意見募集を行っています。修正箇所は以下となります。

  • 第五条:適用対象に、「汚染排出許可証無しで汚染物を排出行為」を追加、また、ある表現の修正;
  • 第十条:処罰書を渡されたから「三十日間以内」という環境保護所管部門の再検査期限を削除;
  • 第十七条:再検査についての内容を削除;(”再検査”という概念を捨てることにより、主管部門の選択肢を増える狙いです。下同。)
  • 第十八条:再検査についての内容を削除(十八条自体が削除されました);

 製造大国となった中国は今でも工場廃棄物による環境汚染に悩まされています。最新の調査結果によると、全国工場の汚染排出が基準内にいる割合はまだ70%に留まっています。そういう背景の中に、当局が法規制を強化し、掲げた環境保護の目標を実現しようという傾向が今後も引き続き強くなる見込みです。その中に一つ重要な処罰制度として、「日単位罰金加算制度」は今後も注目を集めていくでしょう。

杜 業翔
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