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台湾TPRに代わりORモデルの採用を検討

 台湾の新規・既存化学物質登録制度は、2014年末から施行となりました。実施初年に発生した問題の慎重な検討により、円滑な実施に際しての主な障害は現在採用されている第三者機関(TPR)システムとなっています。良いニュースとして、3月16日にオランダのアムステルダムで開催されたChemConヨーロッパ2016にて、台湾SAHTECHのJowitt Li博士により、台湾当局はコンプライアンスにおける負担軽減のためにTPRに代わってOR概念の導入を検討していることが明らかにされました。

 
 台湾TPRの存在は、CBIの懸念、海外製造者が複数の台湾輸入者をもつ等のケースにおいて、海外メーカーとのやりとりやCBI保護を実現した上で、台湾輸入者の法規遵守した登録作業の実施を可能にしました。ただし、ORモデルとは異なり、国内の輸入業者やメーカーの代理人であって、海外企業はTPRを使用して登録証明書を取得することができません。
 
 例えば、複数の台湾の輸入業者があり、海外メーカーにCBI上の問題がある場合には、それぞれの輸入についてTPRを指定する必要があります(TPRは同じでもよい)、その後、TPRは海外メーカーとやりとりを行います。 BASFのAnna Hitschler氏によると、複雑なサプライチェーンの管理において、TPRモデルとその実施における障壁は化学物質登録の効率化にも影響を与えています。
 
 新規および既存の化学物質における登録方式は、台湾にとって比較的新しいものです。 ORの概念は、EU、韓国、中国で採用されていますが、台湾の当局は、台湾のメーカーと輸入業者の行動を厳密に規制するためにこのようなシステムを策定しました。しかし、現実は期待に沿ったものとは言えません。一部の輸入業者は、彼らが海外メーカーからの製品情報の全面開示せずに登録できないことを理由にして、TPR指定の義務を拒否しました。この例の場合、海外メーカーはすべての登録の問題に責任をもつ必要があります。登録料を支払う、信頼できるTPRを探す、TPRと台湾の輸入業者との間の公証公式任命文書を要求する、などの努力をした後であっても、結局登録証明書は台湾の輸入業者に属することになります。
 
 ご存知の通り、台湾の新たな総統に選出された蔡英文氏は5月20日に就任の宣誓を行います。彼女が所属する民主進歩党(DPP)は、台湾の議会をコントロールし、彼女の政策を制定するために広範な権限を与えることになります。国民党政権で野党であったDPPは、共通のOR概念を採用せず、台湾における厳しく複雑な化学登録制度の発展に貢献しました。与党になった後、新政府は経済学に関する問題を担当することになります。過度に厳しい規制も台湾の経済発展を制限する可能性があり、ORモデルを実施することも、国際的なベストプラクティスに台湾を揃えることになります。 したがって、TPRモデルは再検討されることになり、李博士によるといくつかの省庁間の議論がすでに行われているということです。
 
 化学物質登録の管理について、台湾のTCSCAとOSHAがそれぞれ規制しています。より良い登録スキームを実現するために、台湾EPAと台湾MOLの間の協調的な努力が規制の見直しに求められます。実際の改訂までは、現在の方式に従わなければなりません。
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