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欧州連合 労働者保護に向けてDMFの新たな使用制限は2023年12月から実施

 EU域内で化学工業の原料として広く使用されているN,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide、略称DMF)の使用を規制するため、2021年11月19日、欧州委員会は「EU REACH規則附属書XVII(制限物質リスト)」に第76条目を追加する欧州委員会規則2021/2030を公表しました。 

 DMFは、「分類、表示、包装(CLP)に関する規則」に基づき、生殖毒性(区分1B)、急性毒性-吸入/経口(区分4)と眼刺激性(区分2)に分類されている物質です。様々な産業現場でのDMF使用による労働者の健康危害を予防するため、2023年12月以降、EU域内におけるDMF及び関連混合物の製造・使用・濃度制限に対して、制限措置を実施する予定です。

 詳細は以下となります。

  • 2023年12月12日から、DMF単体、DMFを含むその他の物質または混合物は、EU域内での上市が禁止される(以下の場合を除外する規定あり)。

  1. DMFの含有量が0.3%未満;

  2. 製造者、輸入者及び川下ユーザーは、「労働者のばく露に関する導出無影響量(DNEL)」*を関連の化学物質安全性報告書(CSR)と安全データシート(SDS)に記入。

  • 2023年12月12日から、DMF単体、DMFを含むその他の物質または混合物は、EU域内での製造・使用が禁止される(以下の場合を除外する規定あり)。

  1. DMFの含有量が0.3%未満;

  2. 製造者及び川下ユーザーは、適切なリスク管理措置の実施と作業条件の提供を行うことで、労働者のばく露が「労働者のばく露に関する導出無影響量(DNEL)」*以下であることを確保。

 *「労働者のばく露に関する導出無影響量(DNEL)」:吸入によるばく露の場合は6 mg/m3、経皮による曝露の場合は1.1mg/kg/day。

  • 以下の場合は、第1項と第2項の規制措置の適用が延期

  1. 織物及び紙素材の直接/転写ポリウレタンコーティング工程、或いはポリウレタン膜の製造における溶剤としての使用または使用目的の上市の場合は、2024年12月12日から適用;

  2. 合成繊維の乾式・湿式紡糸工程における溶剤としての使用または使用目的の上市の場合は、2025年12月12日から適用。

羅 雪純(ラ セツジュン)
ChemLinked Japan編集
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