2020年12月30日、米国環境保護庁(EPA)が現在アメリカに輸入されている唯一の既知のアスベストを対象とする「アスベストの最終リスク評価 パート1:クリソタイルアスベスト」を公開し、評価対象となる6種類のクリソタイルアスベストが労働者や消費者などに不当なリスクを与えるという評価結局を発表しました。
これらのリスクに対処するため、2022年4月5日、EPAは「クリソタイルアスベストの継続使用を禁止する規則案」(以下、「規則案」という)[1]を発表し、60日間の意見募集を開始しました。そして、今回の規則案は2016年6月に改正された「有害物質規制法(TSCA)」[2]に基づき、既存化学物質の安全性を評価および対処する新しいプロセスの下で公布される最初のリスク管理規則となる見込みです。
規則案の主な内容は以下となります。
EPAは現在使用中の6種類のクリソタイルアスベスト含有製品の製造(輸入を含む)、加工、商業流通及び商業利用の禁止を提案する予定です。
アスベスト隔膜;
シートガスケット;
油田ブレーキブロック;
自動車アフターマーケット向けブレーキおよびライニング;
その他の車両用摩擦製品;
その他のガスケット。
ご注意:商業利用の禁止について、番号1~2の場合は最終規則の施行日から2年後に発効し、番号3~6の場合は最終規則の施行日から180日後に発効することが提案されています。
EPAは産業標準、労働安全衛生庁 (OSHA) の要求事項および有害性大気汚染物質アスベスト国家排出基準(NESHAP)に基づき、ターゲットを絞った廃棄・記録保存の要件を提案する予定です。
ご注意:処理・記録保存の要件について、最終規則の施行日から180日後に発効することが提案されています。
その他、EPAはアスベストの補足的リスク評価において、レガシー用途および関連する廃棄、クリソタイル以外のアスベスト繊維のタイプ、タルク・タルク含有製品におけるアスベストの使用状況を評価しています。2021年12月の「アスベストの最終リスク評価 パート2:対象範囲」に加え、EPAは2024年12月1日までに最終リスク評価を公布する予定です。