2024年11月20日、欧州議会および理事会による2024年10月23日付規則2024/2865として、「化学品の分類、表示、包装(CLP)に関する規則(EC) 1272/2008を改正する規則」(以下「改正規則」)が官報に掲載されました。この改正規則は2024年12月10日に発効します。
背景
この改正規則は、2022年12月19日に発表された「持続可能性な化学戦略(CSS)」の中、EUグリーンディールの下で、有害物質のない環境に向けた取り組みの一環として発表されました。目的は、有害化学物質をより適切に特定・分類し、化学物質の危険有害性に関するコミュニケーションを改善し、法的なギャップと高い不遵守率に対応することです。
新たな有害性クラスの追加
改正規則では以下の新たな有害性クラスが追加されます:
人の健康に関する内分泌かく乱物質(区分1または2)
環境に関する内分泌かく乱物質(区分1または2)
難分解性、生物蓄積性、毒性(PBT)
極難分解性及び極生物蓄積性(vPvB)
難分解性、移動性、毒性(PMT)
極難分解性及び極移動性(vPvM)
C&Lインベントリへの通知
すでに「分類・ラベル表示公開インベントリ(C&Lインベントリ)」に登録されている物質の場合、通知者は、同一物質の有害性クラスごとに、最も厳しい分類と異なる理由、またはより厳しい分類を導入する理由を欧州化学品庁(ECHA)に提出する必要があります。分類およびラベリングに変更があった場合、通知者は6カ月以内に通知を更新する必要があります。
通知された情報はオンラインで無料公開され、通知者の名前も含まれます。
多成分物質の分類
改正規則によれば、多成分物質(multi-constituent substances)は、既知の構成成分および物質自体に関する利用可能な情報に基づいて評価されるべきです。ただし、CMR、ED、PBT、vPvB、PMT、vPvMの特性に関しては、構成成分の情報のみが使用されます。このルールは、化学的に修飾されていない植物または植物部位から抽出された多成分物質には適用されません。
デジタルラベリング
改正規則では、化学製品のデジタルラベリングが任意で認められます。デジタルラベルにリンクするデータ媒体を物理ラベルに貼付または印刷し、デジタルデバイスで自動的に処理できるようにします。
デジタルラベルには、物理ラベルに記載されているすべての情報が含まれる必要があります。ただし、「さらなる危険情報はオンラインで利用可能」などの記載とともに、補足情報を省略することが可能です。デジタルラベルは、EU内のすべてのユーザーが無料でアクセスできる状態で、少なくとも10年間保持される必要があります。
折りたたみラベルの使用
新規則では、折りたたみラベルの使用が認められます。折りたたみラベルの表紙には以下の要素を最低限含める必要があります:
サプライヤーの氏名、住所、電話番号
内容量
製品識別子
絵表示(該当する場合)
注意喚起語 (該当する場合)
固有配合識別子(該当する場合)
安全情報への参照
内部ページで使用されているすべての言語の略語
内部ページには、表紙で記載されている情報を除き、すべての必要なラベル要素を含む必要があります。裏表紙には表紙に記載されているすべての情報を含める必要があります。さらに、最小フォントサイズと必須フォント色が規定されています。
ラベル更新の期限
改正規則は、すべてのラベルを遅滞なく更新することを義務付けています。新たな有害性クラスの追加や、より厳しい分類が必要となった場合は6カ月以内、それ以外の場合は18カ月以内に更新を行う必要があります。
その他の変更点
改正規則では、以下の変更も導入されています:
物質または混合物の形態や物理的状態に応じて異なる自己分類を許可;
ヒト健康に対して急性毒性がある物質の「急性毒性推定値」を導入;
新しいアプローチ手法(NAM)の導入;
補充ステーション経由で供給される有害物質や混合物のラベリング
包装規定の導入; • 有害物質および混合物の広告における必須安全情報の表示義務化;
有害物質または混合物のオンライン販売もCLP規則に準拠する必要あり;
すべての関連事業者(販売業者を含む)が毒性情報センター届出(PCN)の要件を遵守。
移行期間
すべてのサプライヤーは、2026年7月1日までに改正規則の要件を遵守する必要があります。でも、新しいPCN要件は2027年1月1日から適用されます。
さらに詳しく知りたい方は、CLP規則に関するケムペディアでご覧ください。
改正規則の原文はこちらで確認できます。