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欧州連合 化学物質の生産量、大幅減少に直面

 欧州化学品工業連盟(Cefic)は2023年7月18日、2023年の欧州連合(EU)加盟27カ国の化学物質生産量は前年比8%減との落ち込みが予想されると発表しました(Ceficプレスリリースをご参照)。この経済見通しは、年初からの景気低迷によるものです。

欧州の化学業界は国際競争力を失いつつある

 エネルギー価格や原材料価格が上昇して、EUの化学産業は世界の化学業界での競争力を失いつつあり、欧州へのプレッシャーが高まっています。2022年、輸出は減少率で輸入を上回りました。2022年第4四半期の生産が不振に終わった後、2023年の最初の4か月も依然本格的な回復には至っていない状況です。Ceficの統計データにより、2023年第1四半期の生産量は前年同期比13.5%減となり、設備稼働率は通常の75%程度として、最初の新型コロナ封鎖の影響を受けた2020年の水準と類似しました。

ソース:Eurostat and Cefic Analysis (2023)

 一方、Ceficのレポートによれば、化学製品の消費者需要は低迷しており、在庫削減は推進されることが必要となります。これをうけ、EU域内の販売及びEU域外の国への輸出については、需要が減退しています。

 今回の経済見通しについて、CeficのMarco Mensink事務局長は次のように述べました。

 「EUの化学産業は完璧な嵐に直面しています。エネルギー価格の高騰、世界的な需要不足及び米国インフレ抑制法の影響を受け、今ヨーロッパに投資する事業者は欧州グリーンディールにとって必要ですが、なかなかつからない状況です。そのため、Ceficはヨーロッパの当局に対し、欧州の産業変革の中で民間部門への投資を次の立法サイクルにおける重要な優先事項とするよう要請します。」

羅 雪純(ラ セツジュン)
ChemLinked Japan編集
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