ケムペディア
日本食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度

概要:

 平成30年6月13日に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律により、食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみを使用可能とするポジティブリスト制度(PL 制度)を導入しました(令和2年6月1日施行)。これにより、ポジティブリストに掲載された物質のみが、日本で市場に出される食品接触材料に使用できるようになります。

 厚生労働大臣は、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」といいます。)第18条第1項の規定に基づき、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いた上で、販売や営業上使用する器具や容器包装(以下、「器具・容器包装」といいます。)またはその原材料に関する規格または製造方法の基準(以下、「規格基準」といいます。)を定めることができるとされています。また、同条第2項により、規格基準が定められたものは、その基準に合致しない場合、販売等をしてはならないと定められています。これらの規格基準は、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号、以下「規格基準告示」といいます。)に示されています。

 さらに、法第18条第3項において、その成分が食品に溶出または浸出することによる公衆衛生への影響を考慮し、政令で定められた材質(合成樹脂)の原材料であり、これに含まれる物質(化学的に変化して生成した物質を除く。)について、該当する原材料を使用して製造される器具・容器包装に含まれる許容量、または食品に混和する許容量が、第1項の規格に定められていない場合は、原則として、器具・容器包装の原材料として使用してはならないとされています。このポジティブリスト制度(安全性が評価された物質のみが器具・容器包装の原材料として使用可能である仕組み)は、平成30年の食品衛生法の改正によって導入され、令和2年6月1日から施行されています。

 ポジティブリスト制度の導入に伴い、食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(令和2年厚生労働省告示第196号)では、合成樹脂の原材料とその中に含まれる物質の規格をリスト化し、一方で施行日以前に販売されたり、製造・輸入されたりしていた器具・容器包装と同様のものについては、施行日から5年間、それに使用される合成樹脂の原材料についてはポジティブリストに掲載されているものとみなす経過措置を設けました。

 この経過措置が終わるまでの期間中に、既存物質(施行日以前に器具・容器包装の原材料として使用実績がある物質)に関するポジティブリストを再整理し、改正案が薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会で審議され、承認されました。また、内閣府食品安全委員会から食品健康影響評価に関する回答(人の健康に悪影響を与える内容及び程度が明確である場合に該当する)が得られたため、規格基準告示を改正するものとされています。

対象:

食品用器具・容器包装の定義と対象となる材質・素材は以下となります。

食品用器具・容器包装の定義

  • 器具:飲食器、割ぽう具、その他食品の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受または摂取の用に供され、かつ、食品に直接接触する機械、器具、その他の物をいう。ただし、農業及び水産業における食品の採取の用に供される機械、器具その他の物はこれを含まない。

  • 容器包装:食品を入れ、または包んでいる物で、食品を授受する場合そのまま引き渡すものをいう


ポジティブリストの対象となる材質

① 合成樹脂製の器具・容器包装

② 合成樹脂以外の材質の器具・容器包装において食品接触面に合成樹脂製のシートが貼られている(牛乳パック等)場合やコーティングが塗布されている(飲料缶等)場合はその合成樹脂


ポジティブリストの対象となる素材

① 合成樹脂の基本をなすもの(基ポリマー)

② 合成樹脂の物理的又は化学的性質を変化させるために最終製品中に残存することを意図して用いられる物質(添加剤)

全体のスケジュール

japan-food-contact-materials-regulation-img1.png関連資料

目次
詳細を読む