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中国 カーボンニュートラルに向け、7の工業分野に関する実施計画を公布

 2021年12月に公布された『“十四五”工業グリーン発展計画(2021~2025年)』では、重要な任務の一つとして鋼鉄・非鉄金属・石油化学・建材などの工業に関する実施計画を制定することが掲げられました(CL-JP記事をご参照)。その背景に、2022年8月1日、中国工業情報化部(MIIT)は国家発展改革委員会(NDRC)・生態環境部(MEE)と共同で、「工業分野のカーボンピークアウトに向けた実施方案」(以下、「方案」という)を発表しました。 

 本方案は工業分野におけるグリーン発展、低炭素転換およびカーボンピークアウト達成を推進することを目的に、次の主要な目標と各重点産業のピークアウトに向けた取組を定めています。

2025年までの主要目標

  1. 一定規模以上の工業企業の単位付加価値あたりエネルギー消費量を2020年比で13.5%削減;

  2. 単位工業付加価値あたり二酸化炭素排出量の削減幅が社会全体より大きい;

  3. 重点産業の二酸化炭素の排出強度が明らかに低下。

重点産業のピークアウトに向けた取組

1.鋼鉄

  • 2025年までの目標:鉄スクラップ加工に必要な許可を取得した企業は年間加工量が1.8億トンを超え、短工程での製鋼の割合が15%以上に達成すること;

  • 2030年までの目標:「酸素高炉」、「シャフト炉を利用した水素直接還元鉄」や「二酸化炭素回収・利用・貯留」等という技術の応用は画期的推進をはかると同時に、短工程での製鋼の割合を20%以上に達成すること。

2.建材

  • 2025年までの目標:クリンカ製造当たりのエネルギー消費量を3%以上削減すること;

  • 2030年までの目標:原燃料の代替を大幅に促進し、「ガラス溶融窯の窯外予備加熱」や「窯炉の水素燃焼」等という低炭素技術の限界を突破し、セメント・ガラス・陶磁器などの業界でグリーン・低炭素な生産ラインを改造・構築し、窯炉の二酸化炭素回収・利用・貯留技術による産業化モデルを育成すること。

3.石油化学

  • 2025年までの目標:石油製品生産量の減少と化学工業製品生産量の増加を着実に遂げ、新規煉化一体化プロジェクトにおける石油製品の生産量を原油加工量の40%以下に引き下げ、大規模二酸化炭素回収・利用・貯留技術による産業化モデルの構築を加速すること;

  • 2030年までの目標:一部の短工程合成技術の大規模な応用を実現すること。

4.非鉄金属

  • 2025年までの目標:液体状アルミニウムの直接合金化率を90%以上に高め、再生銅生産量400万トン、再生アルミニウム生産量1,150万トンを達成し、再生金属の供給量を24%以上占めること;

  • 2030年までの目標:アルミニウム電解で使用される再生可能エネルギーの割合を30%以上に引き上げること。

5.日用品

  • 製紙業の2025年までの目標:集中度が上位30社の企業を75%、熱電併給システム(コージェネレーション/CHP)を導入した企業を85%占めること;

  • 紡績業の2025年までの目標:差別化された高品質グリーン繊維(環境対応型繊維)の生産量および生産割合を大幅に引き上げる他、低温・短工程での省エネ型印刷技術の活用率を50%、エネルギー循環利用技術の活用率を70%達成すること;

  • 2030年までの目標:紡績業における省エネ型印刷技術の活用率を60%、製紙業における熱電併給システム(コージェネレーション/CHP)を導入した企業の割合を90%以上占めること。

6.設備製造

  • 2025年までの目標:「一体化ダイカスト技術」や「超高強度鋼板の熱間プレス成形技術」等のニアネットシェイプ(Near net shape)成形技術の産業応用を実現すること;

  • 2030年までの目標:先進的なグリーン製造技術を開発し、生産過程におけるエネルギー消費量を大幅に低減すること。

7.電子産業

  • 2025年までの目標:結晶成長中に融液の補充を行う連続チャージCz法(CCZ法)の応用範囲を95%以上に拡大し、リチウム電池材料および光ファイバーの関連業界における電気以外のエネルギーの割合をそれぞれ7%、2%以下占めること;

  • 2030年までの目標:電子材料と電子機器完成品の製造に係るエネルギー消費量を著しく低減すること。

羅 雪純(ラ セツジュン)
ChemLinked Japan編集
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