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中国 標準化されたCO2排出量計測システムに関する実施計画を公布

 2022年10月31日、中国国家市場監督管理総局(SAMR)が国家発展改革委員会などと共同で、『ダブルカーボン達成に向けたCO2排出量算定標準システムに関する実施計画』(以下、「実施計画」という)を公表しました。その目的は、2030年までにCO2排出のピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルの達成(以下、「3060ダブルカーボン」という)に向けた「1+N」政策の枠組み*を支援することです。

*2021年10月24日、「新発展理念の完全かつ正確な全面的貫徹によるCO2排出量カーボンピークアウトとカーボンニュートラル実現に関する意見」が発表されました。そして同年10月26日、国務院が「2030年までのCO2排出量ピークアウト行動計画」を通達しました。この意見は「1+N」政策の枠組みにおける「1」に相当する基礎的指導文書です。一方、当行動計画は2030年までのCO2排出量ピークアウト達成を目指す初めての「N」に相当するものです。(詳細はCL-JPウェビナーの4.3をご参照)

 本実施計画は開発中の十数の「N」計画の一つとして、標準化されたCO2排出量計測システムを構築するための具体的かつ実行可能な目標や主な任務などを明確化しました。詳細は下記の通りです。

対象分野

 エネルギー、工業、都市・農村建設、交通輸送、農業・農村、林業草原、金融、公共機関や住民生活などに関する基準を作成します。

主な目標

  • 2025年までの目標:

  1. ダブルカーボン達成に向けたCO2排出量算定標準システムの整備をほぼ完了;

  2. 200以上の算定技術仕様を作成・改訂;

  3. 複数のCO2排出量算定センター建設を準備;

  4. 200種類以上の標準物質/標準試料を研究・開発;

  5. 1000以上の国家標準および産業標準の作成を完了;

  6. 30以上の関連国際標準の制定・改正に実質的に参加。

  • 2030年までの目標:

  1. ダブルカーボン達成に向けたCO2排出量算定標準システムの健全化を強化;

  2. 非化石エネルギー関連の標準システム全体を最適化し、CO2捕獲・利用・貯蔵技術および生態系の炭素吸収源に関する標準を整備するとともに、注目点をカーボンピークアウトからカーボンニュートラルに変更。

  • 2060年までの目標:

 ダブルカーボン達成に向けたCO2排出量算定標準システムの構築を完了することにより、GX(グリーントランスフォーメーション)およびカーボンニュートラルの実現を促進。

主な任務

  • CO2排出量の算定技術システムを改善

  1. 石炭・電力・鋼鉄・交通運輸など基幹産業における基礎的・先端的な算定技術の研究と応用を強化;

  2. CO2排出量算定に関するベンチマーク、標準および標準物質システムを確立・改善;

  3. 一部の産業におけるCO2排出量算定のパイロットプロジェクトを実施し、全国展開の成功パターンを模索。

  • CO2排出量算定の管理システムの構築を強化

  1. CO2排出量算定の監督管理に関する法規制を調査・作成し、評価・監査に関する補助的な規則を策定;

  2. エネルギーとCO2排出量算定を評価するために重点排出事業者に対する点検を頻繁に実施。

  • CO2排出量算定に最適化されたサービスシステムを構築

  1. 公共計測サービス品質の向上のための公共サービスプラットフォームを構築;

  2. CO2排出量の算定能力を高めるための技術・政策支援を提供することにより、分野別の算定サービスを向上;

  3. CO2排出量算定サービスの第三者機関の育成を促進することにより、第三者による算定サービスを強化。

羅 雪純(ラ セツジュン)
ChemLinked Japan編集
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