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フランスのPFAS規制法案が野心的に見えない理由
 日用品のみにおける「永遠の化学物質」の使用を禁止することは、産業界がこれらの有害物質を大規模に使用し続けるための隠れ蓑を提供する恐れがあります。

 イギリス元首相のDavid Lloyd George氏の話によりますと、小さいジャンプで奈落の底を飛び越えようとすることよりも大きな間違いはありません。彼は、第一次世界大戦中に自由党が若者を兵士として強制的に募集することに消極的な姿勢を見せました。

 David Lloyd George氏は、10日前にフランス議会で決定した、限られた範囲の消費者向け製品における悪名高い「永遠の化学物質」とも呼ばれるPFASの使用を禁止することについても同じようなコメントをしたかもしれません。

 デンマークにもフランスに類似の法規制が存在します。米国では最近、12以上の州がパーソナルケア製品、繊維製品や食品包装などの消費者向け製品を対象としたPFAS規制を導入しました。

 これらの化学物質を禁止する決定は、環境保護主義者の間で大きな反響を呼びました。しかし、フランスはEU全体に対して悪しき前例を作り、ヨーロッパ大陸を汚染し続ける危険性をはらんでいます。

 規制法案がない場合より、特定分野を対象とする規制法案はさらに悪くなる可能性があります。

フランスにおける問題点

 日用品における毒性・難分解性を有する化学物質の使用を禁止することは、一見いいことであり、より広範な規制に向けて必要な第一歩であるように思えます。実際、フランスの投票はPFASに対する国民の関心の高さを反映し、他のヨーロッパ諸国でPFASスキャンダルが一面トップニュースとなったことに共通しています。

 しかし、これらの化学物質の削減、そして継続的な削減に向けての第一歩を踏み出すためには、はるかに大胆な対策が不可欠です。

 第一に、フランスの規制法案の対象は、化粧品・靴委・繊維製品・スキーワックスのみであり、極めて限定的です。Tefalからの圧力により、フライパンさえPFASフリーの代替品で代替することが技術的に容易で経済的に効率のいいにもかかわらず、同法案の適用除外となります。

 第二に、消費者向け製品におけるPFASの使用を禁止することは、PFASを含んだ水を飲んだり、食べ物を食べたり、空気を吸い込んだりする複数の経路でばく露される公衆を保護することはできません。ほとんどのフランス人は、飲料水中の対象物質にさらされています。かなり多くの場合は、安全基準値を超えるレベルに達します。

大海の一粟

 第三に、PFAS危機が消費者製品にどの程度起因しているのか、誰も考えようとしません。

 ChemSecの毒性学者は一般に入手可能なデータに基づき、過小とはならないような仮保守的な仮定を用いて計算しました。その結果、フランスの禁止措置はEU規模で適用されても、20.2%しかPFASの排出量は減らないと推定されます。これらの用途の多くは、現在進行中の市場に流通する一方、すでに代替品が導入されています。言い換えれば、これらの用途を禁止することは、何か悪いことが起きた後に手遅れになってから対策を講じることです。

  つまり、フランスの禁止措置を通じて、約80%の排出量を維持することが予想されます。PFASは、消費者部門よりも工業製品の製造や工程で幅広く使用されています。一方、提案されている禁止措置は、PFASの排出源とされる重要な消費者向け製品カテゴリーを対象外とします。PFASは環境中に蓄積し、無期限に残留するため、レベルアップし続けます。20%の用途使用を禁止することは、現状さえ打破することもできません。

 その結果、水・土壌・埋立地からPFASを除去するコストは変わらないまま、汚染の浄化にかかる費用については、20年間で欧州と英国全体で2兆ユーロ以上に達する可能性があることが、最近明らかになりました

危険な先例

 最後に、フランスの部分的禁止措置は、欧州委員会にとってPFAS危機に対して何かしていることを示す絶好のタイミングです。欧州委員会は、特定の消費者向け製品におけるPFASの使用禁止にレールを敷こうとしています。EUの環境委員は1月、ロイター通信に対し、「我々が求めるのは、消費者向け製品における(PFASの)使用禁止だ」と述べ、以前からブリュッセルで議論されていることを明らかにしました。

 政策立案者は、これを国民をなだめつつ、技術革新に消極的な産業界を喜ばせる政治的な得策と考えるかもしれません。このように官僚主義に陥ると、国民を保護できず、欧州で進行中のPFASの全面禁止を妨害・先延ばしことが予想されます。

 限られた範囲内で「永遠の化学物質」の使用禁止は、技術革新に消極的な企業がこれらの物質の使用を続けるための隠れ蓑を提供するだけです。効果的で責任感が強い唯一の方法は、すべてのPFASを段階的に廃止するために産業界と協力する包括的な禁止です。

 特定分野における使用禁止は、禁止しない場合よりもさらに悪くなる可能性があります。

(注意:この記事に記された内容や意見は、著者の個人的見解です。)


 本記事の著作権は、2002年に設立された国際化学物質事務局(ChemSec)に帰属します。なお、記事を日本語に翻訳して掲載することについて、当社とChemSecとの間で合意がなされています。ChemSecは、有害化学物質をより安全な代替品に置き換えることを提唱し、独立した非営利団体として活動しています。転載元:ChemSec

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