ECHA トン数帯の変更は一式文書の評価プロセスの間に考慮され得る

 2022年7月27日、欧州化学品庁(ECHA)は、REACH登録書類(ドシエ)の評価決定を登録者に伝える前に、トン数帯の調整を考慮に入れることを公布しました。これをうけ、下記条件を同時に満たす企業はドシエ評価の決定草案(draft dossier evaluation decision)を受け取り次第、高いトン数帯に応じたデータの補足要求を避けるためにトン数帯の格下げを申請することが可能です。

決定草案の段階に限る

 EU REACH規則には物質の評価とドシエ評価に関する評価プロセスが含まれていますが、物質の評価はトン数帯に基づいて行われていないので、トン数帯の格下げに適用されません。そして、ドシエ評価の決定の採択後、登録トン数帯を変更しても、製造中止しても、その決定内で定められたすべての情報要件を満たさなければなりません。 

前年度の製造または輸入状況を報告

 前年度における物質の製造/輸入量を証拠として提出することで、実際の製造/輸入量が低いトン数帯に該当することを証明する必要があります。

ドシエを更新しながらECHAに伝える

 企業は直ちにドシエのトン数帯を低く調整し、ECHAに関連証拠資料を提出することをお勧めです。そして、ECHAはすべての要素を総合的に考慮した上で、決定を修正するかどうかを決めます。

 従来、ECHAがドシエ評価の決定草案を送った後、登録者は次の2つの対応方法のみあります。つまり、トン数帯、用途または登録タイプを変更することを通じて、関連決定に対応する義務の免除は許容されません。

  • 決定の草案に積極的に対応すること;
  • 製造中止を申請して、登録番号を捨てること。

 しかし、BASF(ビーエーエスエフ)をはじめとする企業はECHAに訴えを提起し、「決定草案を送った後、トン数帯の格下げを考慮することを拒否する」という一律的な対応が妥当ではないと主張しました。なぜかというと、EU REACH規則では、実際の製造/輸入量が登録トン数をはるかに下回る場合でも、高トン数帯に応じたデータ要求に対応すべきことが見当たらないからです。最後に、上訴審判部(Board of Appeal)はECHAと控訴人の提出した証拠をもとに、ECHAが(1)すべての関連要素を考慮していない、(2)動物実験を避けるという原則を満たしていないとして、一部の争議決定を無効にしました。

 現時点で、ECHAはドシエ評価での登録トン数帯の変更に向け、依然として留保態度にとどまっているものの、REACH24Hの専門家から見れば、今後実際の年間トン数を申告するよう求める傾向にあるだろう。そのため、リスクを減らそうとする登録義務者は、できるだけ早めに登録トン数帯の変更を自発的に行うことをお勧めです。