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トルコREACH(KKDIK)規則

1. トルコKKDIK規則とは

 2017年6月23日、トルコ環境と都市計画省(MoEU: Ministry of Environment and Urbanization of Turkey)は、トルコにおける化学品の登録、評価、認可、及び制限に関する規則(いわゆる、「トルコ版REACH規則」)を公開しました。当該規則は、トルコ語で書かれた「Chemicals Registration Evaluation Authorisation Restriction」の最初の文字を取り、「KKDIK」規則と呼ばれるものです。その目的は、トルコ市場における化学物質の安全な使用を確保し、人の健康と環境を保護することです。

 KKDIK規則は2017年12月23日に発効しました。それにより、下記の3の既存法規制が廃止され、KKDIK規則に置き換えられます。

  • 「化学品目録(CICR)とコントロール法規(No.29204)」が2017年6月23日に廃止;

  • 「特定有害物質・製品・貨物の生産、販売および使用に関する制限法規(No.27092)」が2017年12月23日に廃止;

  • 「有害物質・製品の安全データシートの作成および配布に関する法規(SDS法規)(No.29204)」が2023年12月31日に廃止。

2. トルコ化学品管理機関

 トルコ化学品管理機関のうち、環境と気候変化及び都市企画部(MoEUCC)はKKDIK規則を監督・管理しています。その他の主管機関および管理範囲は、下表をご参照ください。

管理範囲主管機関
殺生物製品(殺菌剤)衛生部
洗浄剤・クリーニング製品・芳香剤に使用される表面活性剤、及びプールに使用される強酸/アルカリ性化学品商務部
植物保護製品(農薬)農業と林業部
爆発と花火物質に関する法規制工業と科学技術部
職業健康と家庭安全に危険性のある物質労働と社会サービス部
その他の物質と混合物環境と気候変化及び都市企画部(MoEUCC)*

*「トルコ環境と都市計画部門(MoEU)」が「トルコ環境と気候変化及び都市企画部(MoEUCC)」に名称を変更。

3. 規制範囲

 トルコで製造/輸入する化学物質の総量が年間1トン以上の事業者は、トルコ環境と気候変化及び都市企画部(MoEUCC)に登録しなければなりません。また、事業者は評価・認可・制限・安全データシート(SDS)の関連義務を果たす必要もあります。

4. 免除対象

4.1 KKDIK規則の適用外物質

  • 放射性物質;

  • 税関監督下にある物質;

  • 国防目的で使用される物質;

  • 廃棄物;

  • 非分離中間体;

  • 鉄道、道路、内陸水路、海上または航空によって運搬される有害物質。

4.2 登録済みとみなされる物質

  • 殺生物性製品に用いられる活性物質;

  • 植物保護製品(PPP: Plant Protection Products)に用いられる活性物質。

4.3 登録の適用除外

  • 食品または飼料;

  • 医薬品;

  • 附属書IVに含まれる物質;

  • 附属書Vに含まれる物質;

  • 回収される登録済み物質;

  • 再輸入される登録済み物質;

  • ポリマー (モノマーとその他の反応物の登録が必要);

  • 生産プロセスと製品の研究開発(PPORD)目的で使用される物質(報告の義務)。

5. 登録

 KKDIK規則に基づき、化学品登録ツール(KKS)を通じた物質の登録は、予備登録(Pre-registration)および本登録(Registration)という二つの段階に分けられています。そして、予備登録の締切期限が過ぎても、遅延予備登録(Late Pre-registration)は可能です。詳細は下図をご確認ください。

 2020年12月31日前に予備登録を完了する場合は、2023年12月31日までに当該物質をトルコ国内で製造または輸入することが可能です。そして、2023年12月31日以降はKKDIK規則で未登録の物質をトルコ国内で年間1トン以上製造または輸入することができなくなります。

5.1 登録のスケジュール

5.2 本登録に必要なデータ

 KKDIK規則第11条により、本登録では下記情報を提出します。

  • 技術一式文書(テクニカルドシエ)

  1. 登録申請者の情報;

  2. 物質情報;

  3. 製造情報と用途情報;

  4. 分類とラベル表示;

  5. 安全使用ガイダンス(Guidance on Safe Use);

  6. 付属書7~11の適用から得られる情報(調査要約書);

  7. 付属書7~11の適用から得られる情報(ロバスト調査要約書);

  8. どの情報が化学品評価専門家(CAE: Chemical Assessment Expert)により検討されたかを示したもの;

  9. 附属書9および附属書10に掲げる場合、試験実施の提案;

  10. 1~10トンの物質についてのばく露情報;

  11. 情報公開を拒否する場合、その理由。

  • 化学物質安全性報告書(CSR: Chemical Safety Report)

 10トン以上の化学物質の登録には、資格を持っている化学品評価専門家によってトルコ語で作成される化学物質安全性報告書(CSR)が求められます。

5.3 化学品評価専門家(CAE)資格の取得

 資格を持っている化学品評価専門家(CAE)のみは、登録書類、化学物質安全性報告書(CSR)及び安全データシート(SDS/eSDS)を作成することができます。「化学品評価専門家として認定されるための条件(附属書18)」に基づき、化学品評価専門家(CAE)資格を取得する方法は下記の通りです。

  • 環境と気候変化及び都市企画部(MoEUCC)が認可するトレーニングセンターの化学品安全評価のレッスンを64時間以上受けること;

  • 次の条件のいずれかを満たすことが必要:(1)化学、生物、環境科学関連の学科の学士学位を取得すること、(2)化学技術専攻の修士/博士学位を取得すること、(3)大学学士学位を取得し、5年以上の化工業界の生産、実験室、品質コントロールまたは化学品管理関連の経験を有すること;

  • 国際17204標準の認証機構のテストを合格 ≥ 70 点(100点満点)。

 ご注意:資格認定の有効期間は5年となります。

6. その他の義務

評価
  • 主管機関:環境と気候変化及び都市企画部(MoEUCC)によって提案;

  • 義務事項:登録書類の評価と物質評価;

  • 結果:評価を経て、当該物質は「認可対象物質リスト(KKDIK規則附属書14)」*又は「制限対象物質リスト(KKDIK規則附属書17)」に収載されることが可能。

認可
  • 認可対象物質の候補となる物質:「高懸念物質(SVHC)リスト」に収載;

  • 対象:「認可対象物質リスト(KKDIK規則附属書14)」に収載;

  • 結果:収載物質は認可を受けないと、製造・輸入・使用ができなくなること。

制限
  • 対象:「制限対象物質リスト(KKDIK規則附属書17)」に収載;

  • 結果:同附属書に記載されている制限措置を実施することが必要;

  • 制限措置の発効日を規定。

*「認可対象物質リスト(KKDIK規則附属書14)」は現時点で発表されておらず、2023年12月31日以降に公開される予定です。

7. 関連法およびその義務

有害物質・製品の安全データシートの作成および配布に関する法規(SDS法規)(No.29204)物質と混合物の分類、ラベル、包装法規(SEA法規)(No. 28848)

 同法規は、2023年12月31日に『KKDIK規則附属書2』に置き換えられる予定です。そして、2017年12月23日から2023年12月31日までの間、上記の二つの法規はSDSの作成と提供を共同管理します。

 主な要求:

  • 16項目を含むSDS標準的な書式;

  • トルコ語で作成;

  • トルコにおける資格を持っている化学品評価専門家が作成・署名;

  • SDSの写し(コピー)を環境と気候変化及び都市企画部(MoEUCC)に提出。

 『トルコのSEA法規(No.28848)』、即ち『トルコのCLP法規』は欧州CLP規則と類似しています。同法規に基づき、有害物質に分類された物質を製造または輸入する場合、関係業者はC&L(分類&ラベル表示)通報を主管機関に提出する必要があります。これにより、主管機関はC&Lインベントリーを作成することが可能です。

 主な要求:

  • トルコ域外製造者は唯一の代理人(OR)を指定し、C&L通報を完了させることが可能;

  • 2015年6月1日以降に上市される物質は、トルコ市場に入った日から1か月以内に主管機関へのC&L通報を完了することが必要;

  • 化学品登録ツール(KKS)でC&L通報を提出。

8. 関連リンク

 ここでは、KKDIK規則について注目づべきCL-JP記事やウェブセミナー等をまとめています。

8.1 CL-JP記事

8.2 CL-JPウェブセミナー

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