韓国はいち早くGHSを導入した国の一つです。2013年7月1日以降、韓国のGHS標準は国連GHS文書改訂4版と一致し、物質及び混合物に適用されます。すべての化学物質は、強制的なGHS対応する義務が課せられます。そのため、供給者は適切に分類するとともに、ラベル表示と製品安全データシート(MSDS)を作成し、川下に供給する必要があります。
1.主管機構及び関連規制
GHSの実施は韓国雇用労働部(MoEL)、韓国環境部(MoE)及び国家緊急事態管理庁(NEMA)を含む3省庁が関わっています。関連規制・基準は、主に以下の通りです。
| 主管機構 | 法規制 | 支援基準 | 備考 |
| MoEL | 産業安全保健法(OSHA) | 「化学物質の分類および表示に関する基準、及び製品安全データシート」の改正版(MoEL公告第2023-9号) |
|
| MoE |
| 化学物質の分類及び表示に関する規定 |
|
| NEMA | 危険物安全管理法(旧称:消防法) | 危険物の分類及び表示に関する基準 |
|
2.義務
「化学物質の分類および表示に関する基準、及び製品安全データシート」(以下、「基準」という)は、韓国の最も重要なGHS基準です。この基準は、化学物質の分類基準、MSDSやラベルの作成及び交付方法・フォーマットについて規定しています。2023年2月15日、当該基準の改正版は発表され、直ちに発効しました。
2.1 分類
以下の表は、韓国が採用するビルディングブロックを示しています。赤色で強調されるビルディングブロックは、韓国GHSの対象外となります。
| 物理化学的危険性 | 1.爆発物 | 不安定爆発物、等級1.1、等級 1.2、等級 1.3、等級 1.4、等級 1.5、等級 1.6 |
| 2.可燃性ガス | 区分1、区分1A、区分1B、区分2 | |
| 3.エアゾール | 区分1、区分2、区分3、加圧下化学品 | |
| 4.酸化性ガス | 区分1 | |
| 5.高圧ガス | 圧縮ガス、液化ガス、深冷液化ガス、溶解ガス | |
| 6.引火性液体 | 区分1、区分2、区分3、区分4 | |
| 7.可燃性固体 | 区分1、区分2 | |
| 8.自己反応性物質および混合物 | タイプA、タイプB、タイプC、タイプD、タイプE、タイプF、タイプG | |
| 9.自然発火性液体 | 区分1 | |
| 10.自然発火性固体 | 区分1 | |
| 11.自己発熱性物質および混合物 | 区分1、区分2 | |
| 12.水反応可燃性物質および混合物 | 区分1、区分2、区分3 | |
| 13.酸化性液体 | 区分1、区分2、区分3 | |
| 14.酸化性固体 | 区分1、区分2、区分3 | |
| 15.有機過酸化物 | タイプA、タイプB、タイプCとD、タイプEとF、タイプG | |
| 16.金属腐食性 | 区分1 | |
| 17.鈍性化爆発物 | 区分1、区分2、区分3、区分4 | |
| 健康に対する有害性 | 1.急性毒性ー経口/吸入/経皮 | 区分1、区分2、区分3、区分4、区分5 |
| 2.皮膚腐食性/刺激性 | 区分1、区分1A、区分1B、区分1C、区分2、区分3 | |
| 3.眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1、区分2、区分2A、区分2B | |
| 4.呼吸器/皮膚感作性 | 区分1、区分1A、区分1B | |
| 5.生殖細胞変異原性 | 区分1A、区分1B、区分2 | |
| 6.発がん性 | 区分1A、区分1B、区分2 | |
| 7.生殖毒性 | 区分1A、区分1B、区分2 | |
| 8.特定標的臓器毒性ー単回ばく露 | 区分1、区分2、区分3 | |
| 9.特定標的臓器毒性ー反復ばく露 | 区分1、区分2 | |
| 10.誤えん有害性 | 区分1、区分2 | |
| 環境に対する有害性 | 1.水生環境有害性ー急性 | 区分1、区分2、区分3 |
| 2.水生環境有害性ー慢性 | 区分1、区分2、区分3、区分4 | |
| 3.オゾン層への有害性 | 区分1 |
本基準は、個々の濃度又は関連物質の合計濃度が分類基準となる最小濃度限界値を超えた場合に、混合物を分類するものです。次は、一般的な濃度限界を適用する危険有害性クラスおよび危険有害性区分です。
| 危険有害性クラス・区分 | 濃度限界(%) |
| 急性毒性: -区分1~区分3 -区分4 | -0.1 -1 |
| 皮膚腐食性/皮膚刺激性 | 1 |
| 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 1 |
水性環境有害性: -急性1 -慢性1 -慢性2~慢性 | 0.1 0.1 1 |
2.2 製品安全データシート(MSDS)に関する要件
韓国のMSDSは、16項目からなっています。これは、原則として韓国語で作成されます。MSDS第3部分(組成/成分情報)で披露する混合物の成分については、±5%以内(濃度下限値-濃度上限値)の濃度範囲が許容されます。そして、含有量が5%未満の場合は、濃度下限値を1%以上とします(特例:呼吸器感作性、皮膚感作性、生殖細胞変異原性区分1A/1B、発がん性、生殖毒性、オゾン層への有害性の場合は0.1%)。
ラベル要件
化学物質の容器や包装には、危険有害性情報を明確に記載した韓国語ラベルが表示又は印刷されなければなりません。ラベル要素の配置については、以下のポイントを考慮する必要があります。
製品特定名:MSDSに記載されているものと合致;
注意喚起語:「危険」と「警告」の両方の注意喚起語が該当する場合には、より重大なレベルである「危険」だけを表示;
絵表示:5つ以上ある場合、4つのみ表示;
危険有害性情報(Hコード):分類結果に基づくすべての危険有害性情報は、重複状況が明らかな場合を除き、ラベルに表示することが必要;
注意書き(Pコード):注意書きが7つ以上ある場合には、ラベルにそのうちの 6 つのみ表示することが可能であり、予防・対応・保管・廃棄から少なくとも1つの注意書きを選択(該当するものがない場合を除く);
*この場合、ラベルに「完全な注意書きについてMSDSをご参照ください」と記載。
供給者の識別:韓国における供給者の氏名、住所、電話番号;
100g又は100ml未満の簡易ラベル:危険有害性情報&注意書きは省略可能;
工場で使用される半製品の簡易ラベル:注意喚起語のみ。
例示:
各容器/包装の容量で要求されるラベルの最小サイズは、以下の表のように定められています。また、絵表示の大きさはラベルの40分の1以上とし、最小サイズは0.5cm2以上とします。
| 容器/包装の容量 | サイズ |
| 500リットル以上 | 450cm2以上 |
| 200リットル以上、500リットル未満 | 300cm2以上 |
| 50リットル以上、200リットル未満 | 180cm2以上 |
| 5リットル以上、50リットル未満 | 90cm2以上 |
| 5リットル未満 | ラベル面積が総表面積の5%以上(この総表面積には、容器や包装の上部と下部を含まれていません) |
GHS分類リスト
指定物質のMSDSとラベルを作成する際、GHS分類リストに従うことが義務付けられています。当該リストは、韓国国立環境科学院(NIER)によって動的に更新されます(最近の更新)。これをうけ、より多くの有害化学物質及びこれらの物質の有害性分類情報・絵表示・注意喚起語・危険有害性情報・M係数などが新たに追加されます。
また、韓国雇用労働部(MoEL)傘下の労働安全衛生庁(KOSHA)は、6,000を超える化学物質の分類、表示情報、MSDSのサンプルをホームページ(http://msds.kosha.or.kr/kcic/english/msdssearch.do)で公開しています。これらの分類は、参考用としてのみ利用され、義務化されていません。そして、OSHAの分類基準に従った産業分類が認められています。
改正OSHA下の新しいMSDS規則
2019年1月15日、韓国「改正産業安全保健法(K-OSHA)」が大統領の署名をもって、正式に公布されました(CL-JPセミナー)。最も重要な変更点としては、MSDSの提出要件、CBI申請プロセス、唯一の代理人(OR)の概念が挙げられました。その後、OSHA実施令及び実施規則は、2019年12月に適宜改訂されました。そして、最も重要な「化学物質の分類および表示に関する基準、及び製品安全データシート」の改正版は、2023年2月15日に発表され、直ちに発効しました(CL-JP記事)。
これらの新しい要件を踏まえて、有害因子を含む化学物質又は混合物の製造者/輸入者は、MSDSを作成し、MoELに提出する必要があります。
今後、以下の3つの選択肢の中から1つを選び出すことができます。
MSDSに製品の全組成成分を開示;
有害因子のみを明記するMSDSと、その他の成分に関する情報を示す追加書類を提出;
有害因子のみを明記するMSDSと、危険有害性の分類基準に該当する成分がないことを記す「化学製品の詳細確認書(LoC)」。
MSDS提出時に割り当てられるユニークコードは、製品の識別を効果的に行うこと及び情報伝達のために、MSDSの右上に記載する必要があります。
営業秘密情報(CBI)関連の懸念に対処するため、利害関係者は、代替名と代替含有量範囲を持っている化学成分の秘密保護を申請することが可能です。また、労働者の健康や環境に深刻な影響を及ぼす可能性のある有害化学物質は、CBI申請の対象外となります。CBI保護は許可日から5年間有効です。そして、有効期限の30日前まで延長申請が受け付けられ、許可された場合は、次の有効期限が前回の有効期限最終日の翌日から5年となります。一つ注目すべき点は、営業秘密保護のためにMSDSで使用した代替名は、物質の特性と潜在的な危険有害性を示すことです。CBI保護の申請要点については、詳しくはこちらのCL-JP記事です。
韓国国外の製造者はMSDSを提出し、CBI保護を申請するために、韓国を拠点とする唯一代理人(OR)を指名することができます。そして、ORの選任及び解任は、MoELに報告しれなければなりません。
韓国の「改正労働安全衛生法(OSHA)」により、2021年1月16日以降、化学物質の製造・輸入前にITシステムを通じたMSDSの提出とCBI非開示の承認が義務化されました。2021年1月16日以前にMSDSが作成された韓国で流通する化学物質については、化学物質の製造・輸入量に応じて猶予期間(最大5年)が設けられています。
MSDSの提出とCBI申請に関する上記の規定は、2021年1月16日より施行されます。これにより業界へかかるコンプライアンス負担を削減するため、化学物質の製造・輸入量に応じて猶予期間が設けられています。

3.関連記事及びセミナー
CL-JP記事:
韓国 CBI情報をMSDS作成に使用することに関するOSHA改正を実施(2023年12月12日)
韓国 MSDSにおけるK-REACH登録/申告番号の非開示を認める(2023年8月3日)
韓国 「化学物質の分類および表示に関する基準、及び製品安全データシート」を改正(2023年3月13日)
韓国 混合物の分類・ラベル表示に関するガイドラインを公布(2022年8月11日)
2022年韓国MSDS提出とCBI申請よくある質問集(2022年7月25日)
韓国 MSDSシステム:CBI申請に関するよくある質問と回答(2021年10月27日)
ウェブセミナー:
2023年グローバル化学物質管理法規制の回顧: 2.アジア太平洋他の地域(2024年1月30日開催)
韓国GHS対応--MSDS提出及びCBI申請要点の解説 ウェブセミナー(2022年7月6日開催)
韓国GHS及び「産業安全保健法」におけるMSDSの最新変化 ウェブセミナー(2019年11月7日開催)