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中国 5種類の残留性有機汚染物質(POPs)の禁止を決定

 中国の第13期全国人民代表大会(全人代)常務委員会は2022年12月30日、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」附属書の改正案を批准することを発表しました。2023年3月8日、POPs条約を締約している中国が批准書を国連事務総長に寄託したことを受け、その90日後の2023年6月6日から改正案が中国で発効する予定です。 

 本改正案の主な内容は下表のとおりです。

物質名CAS番号POPs条約の改正内容

ヘキサクロロブタジエン

Hexachlorobutadiene (HCBD)

87-68-3
  • 特定の免除項目なしにHCBDを附属書A(廃絶)に追加(SC-7/12をご参照);

  • HCBDを附属書C(非意図的生成物)に追加(SC-8/12をご参照)。

ペンタクロロフェノール(PCP)とその塩及びエステル類

Pentachlorophenol (PCP) and its salts and esters

87-86-5

31-52-2

27735-64-4

3772-94-9

1825-21-4

  • 製造・使用に関する特定の免除項目とともにPCPとその塩及びエステル類を附属書A(廃絶)に追加(SC-7/13をご参照)。

ポリ塩化ナフタレン

Polychlorinated naphthalenes (PCNs)

-
  • 特定の免除項目とともにPCNsを附属書A(廃絶)及び附属書C(非意図的生成物)に追加(SC-7/14をご参照)。

デカブロモジフェニルエーテル

Decabromobiphenyl ether (DecaBDE)

1163-19-5
  • 製造・使用に関する特定の免除項目とともにDecaBDEを附属書A(廃絶)に追加(SC-8/10をご参照)。

短鎖塩素化パラフィン

Short-chained chlorinated paraffins (SCCPs)

例えば、

85535-84-8

68920-70-7

71011-12-6

85536-22-7

85681-73-8

108171-26-2

  • 製造・使用に関する特定の免除項目とともにSCCPsを附属書A(廃絶)に追加(SC-8/11をご参照)。

 その後の2023年3月15日、中国生態環境部(MEE)は公告で、同改正案の国際的な要件と「重点管理対象新汚染物質リスト(2023年版)」(以下、「2023年版リスト」という)に掲げる国内要件に基づく5つのPOPsの具体的な管理措置を明確化し、2023年3月27日まで管理措置またはその発効日に関する意見の募集を開始しました。

 本公告に掲げる具体的な管理措置は、以下となります。

物質名主な管理措置備考
HCBD
  • 製造・使用・輸出入の原則禁止(特定の免除項目なし);

  • HCBDを排出する事業者は、その排出量を実質的に削減し、或いは排出源をなくすための適切な措置を講じることが必要。

2023年版リストに定める主な環境リスク管理措置は2023年3月1日から発効した。
PCPとその塩及びエステル類
  • 製造・使用・輸出入の原則禁止(特定の免除項目なし)。

  • 2023年版リストに定める主な環境リスク管理措置は2023年3月1日から発効した;

  • 中国国内では、改正案に掲げる特定の免除項目は適用されない。

PCNs
  • 製造・使用・輸出入の原則禁止(特定の免除項目なし);

  • PCNsを排出する事業者は、その排出量を実質的に削減し、或いは排出源をなくすための適切な措置を講じることが必要。

  • 中国国内では、改正案に掲げる特定の免除項目は適用されない。

DecaBDE
  • 製造・使用・輸出入の禁止(以下の3つの用途は2023年12月31日まで除外)。

  1. 難燃性を有する繊維製品(衣服と玩具を除く);

  2. プラスチックケースの添加剤及び家庭用暖房器具、アイロン、扇風機、浸入式加熱器の部品(直接に接触する電気部品或いは難燃性基準に遵守する必要がある部品を含める;部品の重量に基き計算し、密度10%未満);

  3. 断熱性建材用ポリウレタンフォーム。

  • 2023年版リストに定める主な環境リスク管理措置は2023年3月1日から発効した。

SCCPs
  • 製造・使用・輸出入の禁止(以下の9つの用途は2023年12月31日まで除外)。

  1. 動力伝達用ベルトに用いられる添加剤(天然・合成ゴム産業);

  2. ゴムコンベアベルト用交換部品(鉱業及び林業用);

  3. 皮革産業用途(特に皮革加工時の加脂剤として使われる);

  4. 潤滑油添加剤(特に自動車、発電機と風力発電施設のエンジン、及び石油・天然ガス掘削と軽油の製造に用いられる);

  5. 屋外用装飾チューブ;

  6. 防水・難燃性塗料;

  7. 接着剤;

  8. 金属加工;

  9. 玩具及び子供用製品を除く柔質ポリ塩化ビニルの二次可塑剤。

  • 2023年版リストに定める主な環境リスク管理措置は2023年3月1日から発効した。

 注意:次に掲げる化学物質は、上記の製造・使用・輸出入の禁止措置に適用されません。

  • 実験室的な規模で試験研究用物質;

  • 標準物質として使用される物質。

羅 雪純(ラ セツジュン)
ChemLinked Japan編集
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