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米中貿易戦 化学業界にダメージを

 アメリカが4月3日に、中国からの500億ドル規模の輸入品1,333品目に対する25%の追加関税を課すと発表したことに対抗し、中国(国務院関税税則委員会)は4月4日、アメリカからの500億ドル規模の輸入品106品目(その内、化学品44品目)に対する25%の追加関税を課す計画を発表しました。米中の貿易戦争により、中国市場で流通している多くの化学製品の価格は引き上げられる見込みです。

 国務院関税税則委員会が4月4日に発表した「関税追加対象輸入品リスト」には合計14類106品目の商品に及び、その内、「液化プロパン」・「プラスチック」・「低密度ポリエチレン(LDPE)」・「ポリ塩化ビニル(PVC)」・「潤滑剤」を始めとする44品目の化学品が含まれています。

 中国は追加関税を正式に実施されれば、両国の化学産業への影響は明らかです。例えば、中国は液化プロパンへの輸入依存度が高く、2017年の輸入量は1,337万トンに上り、その内、337万トン(25%)はアメリカから輸入していました。現在、多くの中国企業は米国のプロパン輸出業者と契約を結んでおり、アメリカ産の液化プロパンに課す関税は今の1%から25%に引き上げられる場合、今後の取引に大きな影響を与えるでしょう。

 また、対抗措置の一環として、中国商務部は4月4日に、アメリカ・EU産「エチレングリコール(EG)」及び「ジエチレングルコールモノブチルエーテル(DGBE)」に対するアンチ・ダンピング関税を一部調整しました。特にダウ・ケミカル(The Dow Chemical)を始めとするアメリカの会社に対して、最大75.5%のアンチ・ダンピング関税を適用させています。EGとDGBEは主に塗料・インクの生産に使われています。塗料生産業者は価額を引き上げるか、代替原料を探すか選択を迫られています。

杜 業翔
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