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幻の「中国危険化学品目録 2017年版」について

 今年に入って、「中国危険化学品目録 2017年版」の有無についての問い合わせが増えています。本サイトが調査したところ、2017年版の存在が確認できず、現状では、最新版は2015年2月27日に公布された「中国危険化学品目録 2015年版」と認識しています。

 「危険化学品目録 2017年版」をキーワードとして、中国の検索エンジンで検索すると、確かに2017年版らしい文書が出てきますが、詳しく見ると、1ページ目以降の内容は2015年版と同じであることがわかりました。

 また、該当の2017版らしき文書を掲載しているサイトは中国で誰でも無料アップロードできるファイル保存・共有サイトであることも判明しました。通常、サイト運営者はファイルの信憑性に関して、一切責任を負わないことになっています。

 「危険化学品目録」の中国の化学品管理体制における位置は言うまでもなく、皆様から関心を集めるのは当然です。しかし、目録のある特徴はよく見落とされがちです。それは、国務院が公布した「危険化学品安全管理条例(591号令)」や、安監総局が公布した「危険化学品登記管理弁法(53号令)」と異なり、「危険化学品目録」は安全生産監督管理総局、工業情報化部、公安部、環境保護部、交通運輸部、農業部、国家衛生計画生育委員会、国家品質監督検験検疫総局、鉄路局、民航局合計10の政府機関が共同で公布したものであるという点です。

 「危険化学品目録2015年版」の歴史を振り返ってみると、上述した10の政府機関が何年もの議論を経て、各機関が納得できる範囲のギリギリで合意を得て、2002版の代わりに、2015年版を公布しました。そのため、例えば、2017年の時点で安監総局が目録を改正しようとしても、原則的に、他の九つの機関の同意を得なければいけません。それは不可能ではありませんが、気が遠くなる話でもあります。総じて、「危険化学品目録」は今後必ず改正すると思われますが、現在の体制では、2年ごとにバージョンアップできる状況ではないと思われます。

 以上はあくまでも本サイトの見解ですが、皆様のご参考となれば幸いです。

杜 業翔
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