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CRAC2022シリーズ 中国新汚染物管理:中央と地方、政府機関間の連携が重要

 中国のいわゆる「新汚染物」は、近年生態環境部(MEE)が主導で提出された新しい概念です。まだ明確な定義がありませんが、当局の発表資料には、(1)残留性有機汚染物質、(2)内分泌かく乱物質、(3)抗生物質、(4)マイクロプラスチックという4種類が例として挙げられています。現時点でまだ実行性のある規制が公布されているわけでもありませんが、中国の生態環境管理の「次の段階」と位置付けられ、国内外から注目を集めています。

 現在、中国国務院が今年5月に公布した「新汚染物管理行動方案」に加え、9月27日、MEEが工業と情報化部・農業と農村部・商務部・税関総署など7つの政府機関と共に「重点管理対象新汚染物質リスト(2022年案)」を発表しました。正式版は今年中に公布する見込みです。

 「重点管理対象新汚染物質リスト(2022年案)」には、合計14品目の新汚染物ごとに「主な環境リスクコントロール措置」が記述されています(いわゆる“1品1策”)。これらの措置は生産・輸入・使用・廃棄・環境への排出・製品中の含有量制限など多岐に渡り、実行するには前述した複数の政府機関の連携が欠かせません。

 今月26日で、中国浙江省杭州市内で開かれた「グローバル化学品法規制年次サミット(CRAC2022)」のオフライン会場で、生態環境部の固体廃棄物と化学品管理技術センター(MEE-SCC)の方が講演で、「新汚染物質の管理に関する各政府機関の責務分担を明確にする文書は今年中に公布する計画だ」と表明しました。さらに、「新汚染物質の管理は、中央が方針規制を示し、各地域はそれを基礎に、独自の状況に応じて、対象物質や、詳細なより厳しい管理規制を制定することができる」とおっしゃいました。

 中国の新汚染物の管理はまだ模索の段階であり、今後の進展も決して平坦な道のりではないことは当局も覚悟しているようです。それでも着実に進める決心を示しています。

杜業翔(ト ギョウショウ)
法規制コンサルタント/Chemlinked Japan編集
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